胡蝶蘭の育て方が難しいワケ 

「胡蝶蘭は育てるのが難しい」と聞いたことはないでしょうか。
その理由は、胡蝶蘭が特殊な構造をもつ植物だから、普通の植物と同じ感覚で育てるとうまくいかないからです。
今回は、胡蝶蘭の構造をみながら、育て方が難しいワケについてお話したいと思います。

 

1.胡蝶蘭の構造

・胡蝶蘭は昼間に気孔をとじている

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ランは、熱帯雨林の樹木や岩場に根をはりめぐらせて生活しています。こういった着生ランをCAM植物といいます。
CAM植物は普通の植物と光合成のしかたが違います。CAM型光合成といった特殊な光合成を行います。普通の光合成の植物と大きく違う点は、涼しい夜に気孔をひらき、昼間は気孔をとじて生活をすることです。

つまり、土から水を吸収できず常に水分が不足しているので、昼は気孔をとじて水分の損失を抑えています。
こういった働きは、着生ランが本来生息している特殊な環境に適応するためと考えられています。

 

・胡蝶蘭は乾燥にとても弱い

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<Maxillaria hedwigiae>

 

多くの着生ランは、乾燥に耐えられるように「バルブ」と呼ばれるタンクに水分を蓄えていますが、胡蝶蘭にはありません。胡蝶蘭はバルブの代わりに分厚い大きな葉を持ち、そこに水分や栄養分を蓄えます。
しかし、バルブと比較すると葉に蓄えられる水分は、きわめて少ない量になることから、ランの中でも胡蝶蘭は乾燥に耐える能力が低いと言われています。

 

・胡蝶蘭は花全体を湿度で覆う必要がある
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胡蝶蘭を育てていると、鉢から根がとびだしてどんどん伸びてくることがあります。これは気根植物である着生ランの自然な現象で、根や葉が空気中にさらされたいという習性が働いているからです。
そのため、伸びた根も含めて花全体を湿度で覆ってあげることが必要になってきます。

 

2.胡蝶蘭を育てるのが難しいワケ

・胡蝶蘭は高い湿度が必要だから

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胡蝶蘭は、夜間に気孔をひらいて水分を蓄えますが、空中湿度が乾燥していると、水分の蒸発を抑えようとして夜間でも気孔をひらきません。すると胡蝶蘭は光合成をできなくなり枯れてしまいます。

 

胡蝶蘭は70%の湿度が必要です。特に夜間は80%以上の湿度が理想となりますので、夜間は室内フレームやビニールパラソルなどの中に囲うなどして、保湿の工夫が必要となります。

 

まとめ

胡蝶蘭は育てるのが難しいといわれているのは、高い空中湿度が必要になるからです。
人が快適に暮らしている湿度(40~60%)と、胡蝶蘭が快適に暮らしたい湿度(70%~90%)には大きな差があるので、保湿の工夫が必須であること。また、植え込み材料、温度、光、風、鉢の種類、鉢のサイズ、四季によっても水分の蒸発量が変化することから、温度と違って湿度は管理が難しいということです。
実際に、生産者も湿度調節に多くの苦労や手間をかけています。

 

胡蝶蘭は育てるのが難しいですが、いろんな方の知識や経験を見たり聞いたりして、ぜひトライしてみてはいかがでしょうか。