胡蝶蘭の病気・害虫対策について(長く育てるために)

大切に育ててきた胡蝶蘭が、病気や害虫に侵されないために必要な知識とは。

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胡蝶蘭を長く育てるために、病気や害虫の認識は欠かせません。
手塩にかけて育ててきた花や葉にちょっとした変化があれば、それは胡蝶蘭の病気のサインです。

 

病気の進行具合によっては、やむを得ず焼却しなければならないこともあります。
そんな悲しい結果にならないためにも、早期に発見し正しく対処してあげなければなりません。

 

今回は、胡蝶蘭によくみられる病気や害虫についての知識とその対処法について解説します。

 

1. 胡蝶蘭の主な病害虫の原因・症状・対策

病気

・ウイルス性の病気
<原因>虫が葉をかじったり、ウイルスのついたハサミを使用したりすることが原因で伝染します。
<症状>葉が全体的に波打ったり、葉に黄色または白色の円の模様や、黒い斑点が現れます。
<対策>病気の中でもっとも厄介なのがウイルスです。いったんウイルスにかかった鉢は、完治することはできません。他の鉢へ伝染しないように素早く隔離して育てますが、花にまで伝染してしまった場合は焼却した方が良いでしょう。
ウイルスかどうかの判断は難しいため、専門家の判断が必要になる場合があります。
ウイルス対策で最も重要なのが、感染しないための予防となります。

 

・ 軟腐病[なんぶびょう](細菌性)
<原因>土中の細菌が株の傷口から侵入することが原因で発症します。
<症状>葉や茎などが水を含んだようなプヨプヨとした感触に変化し、急速に淡褐色へ変色しながら腐敗が進み、
腐敗部から悪臭を放ちます。
<対策>抗生物質で治療しますが、その後咲く花に奇形が出ることがあります。

 

・ 炭そ病(真菌性)
<原因>カビ胞子が飛散することが原因で発症します。高温多湿環境で特に体力の弱っている株に発生しやすい病気です。
<症状>葉の中央に茶褐色の小さな斑点が現れ次第に大きく広がり穴が空いたり、葉先から枯れてきたりします。
<対策>枯れた部分を切り取り、殺菌剤を塗布します。

・ 葉焼け
<原因>日焼けが原因の病気です。
<症状>葉が白っぽく変色したり、黒く焦げたような症状が現れます。
<対策>すぐに日陰に移動し、まずは様子をみます。回復しない場合は、そこからウイルス感染を防ぐため殺菌剤を塗布します。

 

害虫

カイガラムシ

・ カイガラムシ
<特徴>カイガラムシ科の種類は豊富でその特徴も様々です。
胡蝶蘭にもっとも多くみられるカイガラムの特徴は、大きさが1mm程の白い粉っぽいもので、葉と葉の間や根っこについています。
また、黒い小さなシミのようなものが、花びらについている場合もカイガラムシです。
<対策>中体を殻で覆われているため、殺虫剤を塗布するよりも歯ブラシ等でこすり落とす方が簡単に駆除できます。

 

 

アブラムシ

・ アブラムシ
<特徴>アブラムシの恐ろしさは繁殖力にあります。卵を生まずに自分と同じ形をした幼虫を産むため、あっという間にその数を増やし吸汁し植物を弱らせていきます。また、元の植物が持っていたウイルス等の病原体も体内に吸い込んで、他の植物へ飛び移り媒介します。
<対策>見つけたらすぐに、薬剤を塗布するなどして駆除します。

 

 

ナメクジ
・ ナメクジ
<特徴>ナメクジは日差しが嫌いなため、日中は鉢の中に隠れています。夜になると活動し始め、花芽や蕾などを食い荒らします。
<対策>粘液線が見られた場合は潜んでいるので、ナメクジ誘引駆除剤等で駆除します。ビールの飲み残しで溺死させる方法もあります。また、ナメクジは湿気を好むためなるべく風通しをよくします。

 

2. 胡蝶蘭を守るための予防策

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・ 鉢に触れる前の手洗い
万が一病気にかかった鉢を触っていても、手洗いをしていれば未然に伝染を防ぐことができます。
特に、ウイルスに初期感染した鉢は見た目ではっきり区別がつかないので手洗いは重要です。

 

 

専用液

・ 使う器具の殺菌消毒
他の鉢で使用したハサミやピンセットなどは、専用の水溶液で殺菌消毒してから使用します。
他には、ライターの火の中心で5秒程あぶるのも効果的ですが、刃が鈍る場合があります。煮沸消毒の場合は、沸騰したお湯に10分間煮沸が必要となりますので、少し手間がかかります。
器具の消毒も手洗い同様一鉢ことに行います。

 

 

まとめ

植物に病害虫はつきものですが、主な病害虫を把握しておくことで、早期発見することができます。
そうすることで、早く対処することができ、被害を最小限に留めることができます。

 

また、発生後に対処するよりも、未然に防ぐこと(予防)が一番重要であることもおわかりいただけたでしょうか。

 

店頭で購入した鉢がすぐに病害虫に侵されてしまった場合は、周りに置いてあった他の鉢もその可能性がないとはいえません。
次もそのお店で購入予定があれば、見送ることをおすすめします。